トピックス|山崎法律事務所上海支所(日本山崎律師事務所駐上海代表処)
2006年中国知的財産権保護に関する10大ニュース(2007/05/08)
2007年4月16日、中国の新聞「法制日報」は、2006年の中国での知的財産権保護に関する10大ニュースとして以下のような各ニュースが選出されたことが報じられた。
- 1. 知的財産権保護制度に対する共産党政治局の対応
- 2006年5月、中国国内及び国際的な知的財産権保護をテーマとした共産党政治局第31回勉強会において、胡錦濤総書記は、各党委員会と政府機関に対し、今後さらに知財制度を重視し、この課題に積極的に取り組んでいくべきであると要請した。
- 2. 知的財産権に関するWIPO著作権条約(WCT)及びWIPO実演・レコード条約(WPPT)への正式加盟
- これらの条約への正式な加盟は、全人代常務委員会(全人代に属する常設の業務執行機関である)における2006年12月29日決議により決定されたものである。
なお、これらの条約は、インターネット時代に対応した著作権保護を目指すもので、日本もこれに加盟している。
- 3. 「知的財産権保護綱要(2006-2007)」および「2006年中国知的財産権保護行動計画」の発表
- 「知的財産権保護綱要(2006-2007)」は、2006年4月に国務院が発表した指針であり、知財保護に関する基本思想、目標、措置などをその内容とするものである。「2006年中国知的財産権保護行動計画」は、国家保護知識産権工作組の弁公室が最高法院、最高検察院、その他11の機関と連名で発表したものであり、知財に関する立法、法律執行、システム、宣伝活動、教育、国際交流・国際協力、企業の自律促進、権利者へのサービス提供、個別テーマの研究に関する国家レベルの行動計画である。これについては、2006年末の時点において、計画のすべてが実際に実行され、各方面から高い評価を受けたとされている。
- なお、国家保護知識産権工作組は、呉儀女史をトップとする多数の機関(最高法院、最高検察院、公安部、商務部など)が参加する横断的な組織であり、知的財産権の保護を担う最高位の機構である。また、弁公室は、その業務執行を担当する部門である。
- 4. 国家知識産権局を中心とした知的財産権戦略制定の進行
- 国家知的財産権戦略の草稿がほぼ完成された。これからは、さらに20の具体的な専門テーマの研究が進められることになっている。この戦略は、国際取引の中心が、製品やサービスから知財へと変化してきている状況を踏まえ、かつ、多くの国が国家的な知財戦略を策定していることにならい、国務院の指示のもと、2005年6月から作成に着手されているものである。当該戦略は、知財分野だけでなく、広く他の領域にも関わるものであり、国家全体の発展戦略にも結び付けられつつ、さらに研究が進められている。
- 5. 国務院による「情報ネットワーク伝達権に関する条例」の施行
- 2006年7月から施行された当該条例は、著作者、実演者、録音・録画製作者の情報ネットワーク伝達権(インターネットを通じて情報を送信する権利で、日本での送信可能化権にあたる)を保護するものである。なお、中国での「条例」は、広く国家機関や地方政府の制定・認可する法規範を含むものである。
- 6. 全国に50箇所の知的財産権通報サービスセンターを設立
- 3でふれた「知識財産権保護綱要(2006-2007)」に基づき、各省及び温州など13の重点地域において、一般からの通報を広く受け付ける電話サービス(全国統一で12312番)及びこれに関するホームページ(www.ipr.gov.cnで中文・英文対応)を開設した。これらのサービスセンターは、知的財産侵害に関する通報を受けてこれを審査したうえ、その情報を行政、公安、司法機関に伝達し、または法に基づいて自らこれを処理するなどの業務を行う。このように、関係各部門が互いに協力し合って事案を処理することを通じて、全国一体となった知的財産権保護システムを形成していこうというものである。
- 7. 「上海宣言」の発表
- 「国家知的財産権保護工作組弁公室」と公安部は、上海において、「2006年中国知的財産権刑事保護フォーラム」を開催した。同フォーラムには、日本をはじめとする各国の代表者300人余が参加し、「2006年中国知的財産権刑事保護フォーラムにおける宣言」を採択した。ここでは、各国の法機関、経済界がさらに緊密に協力して、よりよい政策を採択し、グローバル化しつつある知財に対する刑事犯罪に対応するべきであることが宣言されている。
- 8. 特許などの出願総数が300万件を突破
- 2006年6月27日、特許など(中国での「専利」、日本での特許のほか実用新案と意匠を含む)の出願総数が300万件を突破した。出願数が100万件に達するまでには14年を要したのに対し、100万件から200万件までは4年、そして200万件から300万件まではわずか2年3ヶ月で増加した。
- なお、外国からの出願について見てみると、2005年末の時点で、中国における日本からの特許・実用新案・意匠の出願は18万5千件ほど(このうち特許出願が約15万6千件)で、総数の面からも増加スピードの面からも、No.1となっている。
- 9. 海賊版に対する100日間反対キャンペーン」(「反盗版百日運動」)
- 2006年7月から開始された当該キャンペーンは、公安部、工商管理総局などの協同によるもので、結果として、違法な海賊版製品(DVDやCDなど)5,800万点を没収し、1万件にのぼる事件を処理するという記録的な成果を収めた。
なお、中国での海賊版氾濫の原因としては、真正品の価格が高いこと、海賊版の品質が向上してきていること等に加え、そもそも著作権についての権利意識が低いことが挙げられているが、このような海賊版撲滅キャンペーン成功の積み重ねによって、そのような意識を変えていくことが、今後の海賊版対策としては重要といえる。
- 10. アメリカ企業との知的財産権訴訟における初めての勝訴
- 2006年5月23日、2年間を費やした浙江省通領有限公司と米国Leviton社との特許侵害訴訟において、米国裁判所は、訴訟の最終結論を大きく左右する判断をした。これは、浙江省通領有限公司側によるLeviton社特許のクレーム解釈を完全に認容し、同公司製品は侵害品ではないと判断を示したものである。この事件は、これまで特許侵害訴訟で受身に回ることの多かった中国企業が、その知的財産権の保護に関する態度をより積極的なものに変えていける可能性を示した画期的な事件であるとされている。
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